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コラム#10

<働き蟻の法則>

 

 皆さんは「働き蟻の法則」という言葉を聞かれたことがあるだろうか?

簡単に言えば、組織内で全体の蟻を10としたときの蟻の評価を

「よく働く:普通に働く:出来ない(サボる)」

の3つに群を分けたとき、

「2:6:2」

の割合になるというものである。

仮にこの集団から「サボる」集団の2を排除して、残りの「よく働く:普通に働く」の集団に編成しなおしても、結果その集団はまた「2:6:2」に分かれてしまうというものであり、研究からも実証されている。

 

 これを人間社会に当てはめてみるとどうなるのであろうか?答えはYesである。

最近ネットニュースなどでよく見かけるのは、警察官や自衛官などの不祥事である。

(もちろん、一般企業にも当てはまるが)

警察官などという極めて高度な正義感や倫理観を必要とされる職業につきながら、飲酒運転をする、

同僚の財布からお金を盗むなどの事案が多く見られている。このような人たちに社会を守っていただけるのか?という不安を持つのは私だけだろうか?

自衛官であれば、本当に有事の際に勇敢に戦い、国を防衛していただけるのだろうか?

 

 一般企業であれば、頑張って成果を上げた社員と、そうでない社員に対する処遇を区別しなければ、頑張った社員は白けてしまい、仕事に力が入らなくなるであろう。そのために企業は一定の評価基準で給与や賞与といった金銭面での評価や昇進・昇格に対してグラデーションをつけているのである。これらもおおむね働き蟻の法則を知れば、納得できる部分も多い。人が人を評価し、点数をつけることについてはいろいろなバイアスがかかる弊害も多いが、限られた資源を公平に分配するためには必要なのである。この場合の公平という意味は、頑張った人もそうでない人も同じということではなく、頑張った度合いに応じて分配するということである。この場合頑張った人には成果を上げてくれた事に対し、慰労と今後も頑張ってもらえるようなモチベーションを与えること、頑張ってこなかった人に対してはなぜその評価になったのかという具体的事実を伝え、今後の改善について考えさせるきっかけを与えなければならない。もちろん、どちらにも本人に納得させることは必須である。

 

 経営者として人を使う立場になれば、このようなことも理解したうえで、人を評価するという仕組みも導入することが必要になってくるであろう。